2005年6月、ついにインプレッサもF型がデビュー。 ビックマイナーともいえるフロント周りの変更が印象的で、スバルのデザイン・アイデンテティある”スプレッドウィングスグリル”が今回からインプレッサにも採用され、個人的には引き締まった精悍な顔つきになり、”強い”インプレッサの復活を予感していた。
その他にも私たちが参戦した、05' ニュルブルクリンク24Hレースでは先行開発を兼ねてE型インプレッサのレーシングカーに装着した”ルーフベーン”、”リヤディフューザー”をSTI/STIスペックCに標準装備。走りを極め、世界基準のクルマ造りを手掛ける富士重工として重要なエアロダイナミクスまでをも”新化”させてきたのだ。
エンジン特性も、2Lターボとして最強、最大のトルクである 43.0kg-m を発揮。これは従来モデルと同じ 4400rpm で最大となるが、これは一般道での走行やドライバビリティを見据えた上で敢えてこのポイントを狙ってきている。補記類も見た目での変更は無いがブーストマッピングの変更、等長等爆システムを最適化し 43.0kg-m の最大トルクを実現させたのである。
実際に乗って感じたのは、より低回転からトルク感があり 0km/h からの発進加速などはとてもスムーズ、そしてパワフルになった。試乗した車両は走行距離が少なく、エンジンにあたりが出ていないのか、レスポンスはE型モデルと差が無いように感じたが、着実な進化を感じることができた。ボンネットターボバルジは従来モデルより小型化され前方の視認性を改善させながらも、インタークーラーパイピング、アッパータンクの形状の見直しで効率を向上、冷却性能をは低下させないところは流石である。
F型以降のインプレッサで一番気になっていたのはDCCD(ドライバーズコントロールセンターデフ)の進化がどのように体感できるかであった。F型から採用された機械式LSDセンターデフはより高度で俊敏な前後トルク配分制御を可能とした。実際サーキットを走らせると従来のDCCDよりも、リヤが流れ始めて行く部分をより早く察知し、フロントへトラクションが移行されていくのが体感できる。つまり、ドライバーがいきたいポイントへスムーズに向きを変え、トレースできるようになったということだ。簡単にいうとオーバーステアー・アンダーステアーがより早い段階で制御されているので、ドライバーの行う修正舵が減る、クルマがより進行方向へとでクルマが安定し、余計なハンドル操作が少なくなる。まさに走りを極めれば安全に繋がるということである。
DCCDについてもう少し説明しておくと、今回から電磁式LSDに加えトルクセンシング型機械式LSDを追加した事により、従来の横方向Gセンサー+ヨーレートセンサーに加え舵角センサーも追加。ステアリング操作量をセンシングすることで締結力の制御にバリエーションを持たせる。つまりヨーレートセンサー、横Gセンサーからの情報と照らし合わせながら駆動力配分を最適化することで、ドライバーの意思に忠実な操縦性を実現させたのである。
さらにインプレッサやレガシィも従来のモノコック剛性を主体とした対する考え方を改め、サスペンション取付部、応力分散経路などに重点に置く事で、ショックアブソーバーの減衰特性自体を変更せずとも、マイルドな乗り心地にすることに成功している。これらはここ数年、自動車メーカーが積極的に取り入れている”ボディコントロール”という考え方がまさに反映された結果と言えるだろう、スバルにおいてはBL/BPレガシィもD型で応用している。現在では考え方も常に進歩を続けており、サスペンションからの入力に対しどのくらいの割合でどの方向へ伝達させるか、その為の締結強度など変えたり、剛性を変える事で静粛性や低速域から高速域までのステアフィール特性を変化させるところまで来ている。
こうした技術の中で、新たなインプレッサの進む方向性が見えた感ある。15km/h 付近の極低速付近でのステアリングフィールの向上と200km/h 以降の高速域での安定感が、従来のインプレッサよりも確実に向上している辺りなどは、新たな挑戦に取り組む第一歩であり、世界に通用するスポーツセダンとして常に進化することを続けている証なのです。それだけでなく、静粛性や触れる全ての部位にスバルらしさのある感覚性能の向上、より高いスタビリティと安全性、高いパフォーマンスを操る愉しさを、ドアを開けハンドルを握る瞬間、アクセルを開けシフトアップする瞬間、乗る楽しさ・操る愉しさが全てのドライバーの気持ちを昂ぶらせ、クルマは安定したダイナミクスでドライバーに安心感で応える。
全身のチューニングが極まった時、世界最高のドライバーズカーへインプレッサは変貌を遂げるだろう。