Column

2009/05/28

BM/BRレガシィ 1

6年ぶりに5代目となる新型レガシィ(BM・BR型)が登場した。初代モデル以来、レガシィは4年サイクルでモデルチェンジを行ってきたが、4代目は異例なことに6年間のモデルライフとなり、最初期型のAタイプからFタイプまで年改記号が存在する。

年改記号は中島飛行機時代からの軍用機流の伝統だが、毎年必ず性能向上のための改良を加えるというイヤーモデル方式は、海外のメーカーカーで珍しくないが日本では貴重である。また4代目のBL/BP型のモデルライフを伸ばさざるを得なかったのは、4代目の開発投資額が大きすぎたためではないかと思う。

さて新型レガシィの本質的な開発コンセプトは、キープコンセプトであり、世界に通用するMクラス(Dセグメント)のグローバルカーとして熟成することであることは明白だが、今回はハードウエアを大幅に改良したこともあり、「グランドツーリング・イノベーション」という表現を使っている。
4代目は「感動性能」といった表現であったが、今回は「豊かな時間の提供」と、やや抽象的な表現となっている、もう少しダイレクトな表現の方がよいと思うのだが。 豊かさ=グランドツーリング・イノベーションの核となるのは、ドライバーズファン、パッセンジャーズファン、エコパフォーマンスという3つの要素を追求することだったという。ファンというのは気持ちよさ、快適さといったニュアンスだろうか。

レガシィはもともと、セダン/ワゴンというボディと本質的に優れたパッケージングを持ちながら、ドライバーズカーを指向し、ドライビング・プレジャーや動力性能を求めたGTスポーツカー的な要素が強く、リアルなGTカーとして日本では最強ブランドのひとつとなってきた。トヨタ・カルディナ(ワゴン:2002年~2007年)は、トヨタのトップガン・ドライバーの成瀬氏を熟成チューニングに起用し、レガシィ・ターボワゴン打倒を目指してをターゲットに開発を行ったほどだったが、そのカルディナ・ワゴンもけっきょくレガシィには対抗できず2007年に生産終了し、ワゴンブランドもついに消滅してしまった。
そういう点で考えるとレガシィは日本でも稀有な存在なのだが、スバルの開発陣、商品企画担当者にとってはどうやらこれが大きな重荷・制約になっているようだ。コア層の心を掴み、熱烈なファンに支持されている反面で、一般層が過剰な性能を持つクルマとして敬遠しがちで、女性層の支持も低い。
もっと普通のクルマとして認知されれば販売増加が期待できるのではないか、という商品企画のアプローチも存在しているからだ。もうひとつ、レガシィは初代からグローバルカーと位置付けられたが、実際には国内でのヒットがこのモデルを成功に導いた。

しかし、グローバルカーとして成功させたいという根強い願望がある。
3代目レガシィはアメリカでアウトバックが一時的に成功を納めたが、その後は低迷気味で、国内他社とは異なりスバルは収益を輸出で稼ぎ出すといった構造にはなっていない。レガシィはスバルの屋台骨となる車種であり、他社のように海外で着実に収益を稼ぐ存在になることが悲願になっているのも事実である。